IKEUCHI ORGANIC 社長。1991年、慶應義塾大学を卒業後、証券会社に入社。小売チェーン店へ転職し、販売促進、新業態開発、基幹システム導入に携わり管理部門取締役を経て退職。2009年にIKEUCHI ORGANIC株式会社に入社。2016年6月より代表取締役社長を務める。
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IKEUCHI ORGANICの新サービス『タオルメンテナンス』。その先に見据えるもの
2022.04.22
目次
IKEUCHI ORGANICの阿部です。
創業69年目となる今年。前々からお伝えしていましたが、“ものと過ごす人生”により深く向き合う会社を目指し、新しい取り組みをはじめました。
タオルを心地よい状態で長くご愛用いただくための『タオルメンテナンス』サービスです。
ご使用いただいているタオルやタオルケットをお預かりし、私たちの今治本社工場にてメンテナンスを行い、ご購入いただいた際の状態に極力近づけてお戻しします。詳しくは、こちらのサービスページをご覧ください。
タオルメンテナンスの詳細ページへ
長くご使用いただいている中で、肌触りが硬くなってしまったり、吸水性が下がってしまった。または、黒ずみができたり、匂いがなかなか取れない。そんなお悩みを抱えていたら、是非、タオルメンテナンスを試してみてください。きっと、タオルが生まれ変わったかのような驚きを感じていただけると思います。
参考までに、メンテナンスによって、どれくらい状態が変わるかのサンプルを紹介します。
タオルメンテナンスを正式リリースする前に、何名かのお客様にモニターいただいたのですが、上の写真はその際に撮影したものです。ここまでボリュームが回復したり、黒ずみがキレイに落ちるとは思っていなかったようで、モニターいただいたお客様から驚きの声をたくさんいただきました。
こちらのメンテナンスサービスは、IKEUCHI ORGANICの製品(タオル・タオルケット・バスローブなど)のみの受け付けとなります。その代わり、自社製品であれば、個々の特徴を一番理解していますので、最善のメンテナンスをいたします。
例えば、私たちのメンテナンスの工程では、殺菌のためにかなりの高温のお湯にタオルをつけ置きします。これは世の中のクリーニングを生業としている方々から見れば、非常識でしょう。なぜなら色落ちしてしまう危険性があるからです。でも、私たちは使用している染料の詳細を理解しているので、高温で処理する際の温度や時間について、製品になるべく影響を与えない限界点を理解しています。
様々な企業が作った衣類や繊維製品を扱うクリーニングサービスでは実現が難しい、その製品を作ったメーカーだからこそできる最善のメンテナンスとは何か。それを追求した結果、上の写真のように、おろしたてのような状態でお戻しできるようになりました。
IKEUCHI ORGANICによる、IKEUCHI ORGANICの製品のための、タオルメンテナンス。
それが、ようやく実現しました。このサービスは以前から実現したかったサービスで、構想は5年ほど前からありました。会社としてクリーニングの資格をとったり、マシーンの選定から導入、細かな調整の繰り返しと、様々な準備を経てリリースに辿り着きました。
私たちがタオルメンテナンスに注力する理由とは何か。
それは単に、お客様に商品を長くご愛用いただきたいという想いです。
常々言ってきたことですが、洗濯・乾燥などのケア次第で、タオルは使えば使うほど状態は良くなり、「タオルとは育てるものだ」と発信してきました。イケウチのタオルは、適切なケアをしていただければ、少なく見積もっても10年は気持ちよく使っていただける設計になっています。
タオルとは消耗品ではなく、愛用品。革製品やデニムなどと同じで、使えば使うほど味が出て、お客様にとってかけがえのないものになる。そうしたお客様の人生や暮らしに寄り添えるものを届けたいと思いながら、私たちはタオルをつくっています。
同時に、お客様に長くご愛用いただき、買い替え頻度をおさえる製品づくりをすることは、私たちが企業理念に掲げる「最大限の安全と最小限の環境負荷」の大きな柱になっています。
ただ、ケア次第で長くご愛用いただけると言いながらも、肝心のケアはお客様次第。WebサイトやSNSなどでタオルケアのやり方を発信してきましたが、それ以上のサポートを行うことはできませんでした。
また、洗濯とは各ご家庭の事情によって大きく変わるもの。「こういうタオルケアがいい」と私たちが発信したやり方が、お客様からすると実現が難しい可能性もあり、「余計なお世話」で終わってしまうかもしれません。
それが、タオルメンテナンスサービスをリリースすることで、ようやく私たちのほうでタオルケアを対応できる体制になりました。
製品寿命を延ばすには、その製品を気にかけていただき、愛着を持っていただくことが一番です。ちょっと残念な部分が改善されて戻ってきたら、その製品を以前より愛着を持っていただけるのではないか。そうした想いがタオルメンテナンスの根底にあります。
このタオルメンテナンスでは、タオルをお戻しする際、カルテを同封します。お預かりしたタオルの状態についての診断内容と、それを受けて私たちがどのようなメンテナンスを行ったのか。お客様ご自身でもメンテナンスできるように、タオルケアに対する説明も書かせていただいています。
(▲)同封するカルテの見本
なぜ、こういったシートをお送りするかというと、メンテナンスを通じて、日々のタオルケアについて考えるキッカケになればいいと考えているからです。
やはり私たちがおすすめする最も効果的なケアは、日々のお洗濯などのデイリーケアです。メンテナンスによってケアの大切さを実感いただき、ご家庭でのケアを見直したいと考える方もいらっしゃると思い、こうしたシートをあえて送らせていただきます。
私たち自身もタオルメンテナンスをはじめることで、学ぶことが多いと感じています。
これまでタオルケアのやり方を発信してはいるものの、お客様が実際にどのようにタオルケアをしているのかを知ることができませんでした。それが、お客様のタオルをお預かりすることで、実態を知ることができます。
私たちが発信しているやり方は、お客様の忙しい毎日のなかで実践できるものなのか。お客様のご自宅の洗濯環境で実行できるものなのか。タオルメンテナンスを通じて、お客様に提案するタオルケアの内容を地に足ついたものに進化させていきます。
そして、私たちに蓄積された知識や経験は、社会の共有知にしていきたいと考えています。
ありがたいことに、タオルケアについて発信していくなかで、私たちの考えに共感いただき、全く違う業界の方々とアライアンスを組ませていただく機会を得ることができました。
パナソニックさんのタオル専用コースを搭載した家庭用洗濯機の監修をさせていただいたり、コインランドリーと洗濯代行サービスを運営しているOKULABさんとタオルメンテナンスコースを共同開発したりと、タオルケアのあり方を見直す輪が業界を超えて広がっていると感じています。
サステナビティへの関心が高まり、持続可能な社会を実現していくなかで、なにが大事かといったら、循環することです。お客様をはじめ、私たちの考えに共感いただく様々な方々と未来像をシェアする事で、化学反応で何かしら新しいことが生まれてくる。そういうことが大事だと思います。
タオルメンテナンスをはじめることで、どのような変化が訪れるのか。それが非常に楽しみで仕方がありません。
タオルケアによって、タオルはどう変わるのか。それを感じてみたいという方は、是非、タオルメンテナンスを試してみてください。
<編集協力:井手桂司>
記事を書いた人
阿部哲也