IKEUCHI ORGANIC 代表。一橋大学商学部を卒業後、松下電器産業(現パナソニック)に入社。1983年、家業である池内タオルに入社し、2代目として代表取締役社長に就任。現在は代表として企画開発部門に従事。
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かたちだけの「エコ」に陥らないために
2020.07.08
目次
代表の池内です。
池内タオルから『IKEUCHI ORGANIC』に社名を変えて、早6年。IKEUCHI ORGANICは、環境に優しい企業だと評価いただくことが増えてきました。
でも、僕はこういう言葉を耳にする度に、むず痒い気持ちになります。
企業が生産活動を行うこと自体が環境負荷になっていること。それを理解し、負荷の低減に取り組まなければ、環境に配慮した商品をつくっていると胸を張って言えません。使用電力を100%風力でまかなったり、廃水を海の水より透き通っている状態に整えたりと、僕らは「最大限の安全と最小限の環境負荷」をポリシーに活動をしてきました。
そういった実直な姿勢に価値を感じ、池内タオル時代から多くの人が僕らを応援してくれています。ですが、昔からのファンの方々にこう指摘されることが増えていたんです。
「IKEUCHI ORGANICになってから、”環境に配慮している企業”とは思えなくなった」
その理由は、過剰包装。
池内タオル時代は、質実剛健を地で行くような飾りっ気のない商売をしていました。環境への負荷を少しでも減らすために、梱包や包装に余計なものは入れない。そのため、ラッピングすらしていませんでした。
ただ、タオルは贈答用に購入されることが多い商品です。
IKEUCHI ORGANICとなり、多くの方に僕らのタオルを使っていただきたいと考えると、ギフト需要に応えることが求められます。ギフトボックスを作り、包装紙を巻き、リボンをラッピングをしたりと、包装に力を入れるようになりました。
また、ギフトの場合、配送に一層気を配ります。大切な相手にギフトが届いたとき、ボックスの一部が凹んでいると、残念な気持ちになってしまうかもしれない。そのため、緩衝材を入れたり、箱を二重に重ねたりと、次第に梱包も厚くなりました。
その結果、池内タオル時代には考えられない過剰包装になってしまったのです。
「IKEUCHI ORGANICのタオルを買うと、ゴミが大量にでてしまう。これでは、友人や知人に環境に配慮している企業だと紹介することができない」
このお客様からの指摘はごもっともで、実際にギフトとして配送されるものを仕分けてみると、以下の写真の状態になります。
タオルを送るたびに、これだけのゴミを発生させてしまっている。そして、包装や梱包にかかる費用は、商品の価格に跳ね返ってくるので、お客様の負担も増えてしまう。
果たして、これは「最小限の環境負荷」を掲げる企業として正しい姿なのか?
実は、ずっと悩みながら過ごしていました。ただ、IKEUCHI ORGANICとしてギフト需要に応えていくために、ここは目をつぶるしかない。そう自分に言い聞かせていました。
でも、やはり看過できません。
実は、お客様からだけではなく、社内からも意見をもらっていました。学生をしながらインターンとしてストアで働いているメンバーからも、今の梱包では環境への意識が高い若い層が疑問に思ってしまうのではないかと意見をもらっていました。
やはり過剰包装はIKEUCHI ORGANICらしくない。今後、僕らなりのギフト需要の応え方を見つける取り組みを開始していきます。
まずは、ギフトボックスのサイズを軽量化したり、梱包に入れるものを削っていったりと、必要最低限のラインを模索していきます。
実は、お客様からだけではなく、社内からも意見をもらっていました。学生をしながらインターンとしてストアで働いているメンバーからも、今の梱包では環境への意識が高い若い層が疑問に思ってしまうのではないかと意見をもらっていました。
やはり過剰包装はIKEUCHI ORGANICらしくない。今後、僕らなりのギフト需要の応え方を見つける取り組みを開始していきます。
まずは、ギフトボックスのサイズを軽量化したり、梱包に入れるものを削っていったりと、必要最低限のラインを模索していきます。
また、商品カタログや『IKEUCHI LETTER』などの紙の資料も同封していましたが、こういった梱包物も出来るだけなくしていきます。
ある種、送付物にサプライズを期待いただいているお客様からすると、あっさりしすぎて驚かれるかもしれません。でも、僕らは環境にかける負荷を最大限減らすことを第一に考えていきたいので、違う部分で感動や驚きを提供していきます。
とはいえ、ギフトとしての需要を考えると、ある程度の耐久性のある梱包材での配送や包装も必要です。お客様からの声をいただきながら、本当に必要なものは何かを見極めていきます。
最大限の安全と最小限の環境負荷をポリシーに掲げる企業として恥ずかしくない状態にしていきたいので、是非、率直なフィードバックをいただけると幸いです。
ひとつ、ギフト需要に応える僕らなりのやり方として、新しくはじめた取り組みを報告させてください。
2020年7月から、全国でプラスチック製買物袋の有料化が開始されましたが、IKEUCHI ORGANICではエコバッグとしても利用できるシンプルな「オーガニックコットンの風呂敷」をラッピング素材に追加しました。
風呂敷の生地には、IKEUCHI ORGANICの契約農場であるBioRe Indiaで生成のまま織り上げたオーガニックコットン100%の生地を使用しています。ギフト用の定番の包み方である「お使い包み」でタオル商品をお包みしてお届けします。
実は、これを機にIKEUCHI ORGANICをよりピュアな企業にしていくために、社内でも様々な見直しをはじめました。
例えば、社内の備品でプラスチック製品を使うことはやめることにしました。梱包用のテープもプラスチックのものは使いません。細かいところでいうと、クリアファイルの追加購入もやめて、今あるものを使い回すようにしています。
どんなに環境負荷の低い商品を扱っていても、それ以外の部分が環境に配慮されていない活動をしていたら、そのポリシーはお題目だけのものになってしまうのではないか。これは、昔から僕が唱え続けてきたことです。
IKEUCHI ORGANIC。この社名には、ものづくりだけでなく、僕らの会社自体がオーガニックであり続けたいという想いが込められています。
IKEUCHI ORGANICらしいあり方とは何なのか?
その答えを、これからも模索していきたいと思います。
記事を書いた人
池内 計司