スイスREMEI社から学ぶ、ソーシャルビジネスの課題と希望 #2bioRe India CEOヴィヴェク氏 プレゼンテーション
2017.04.14
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2017年3月24日開催 スピーカー:bioRe India Ltd.CEO Mr. Vivek Rawal bioRe Indiaについてヴィヴェク:こんばんは、では皆さんを今度はインドにお連れしますね。 今ヘルムートさんがbioReの全体的な構造を話てくれましたが、私はインドのことにもう少し焦点を当てて話をします。インドにはふたつの組織があります。ひとつはbioRe Indiaという会社です。3,900以上の農家の人と契約をして仕事をしています。そして大体7,000エーカー(東京ドームの約600倍)の土地でコットンを育てています。 この会社の理事会が6人で形成されていますが、議長は創始者であるパトリックさんです。6人の中の2人は、農家の方々が代表として入っています。そしてもうひとつがbioRe アソシエーション、bioRe協会といいますか、NGO(非政府組織)の形態をとっています。社会的問題であったり、社会的意義を見出し、解決する団体です。 私はこのbioRe Indiaが、世界的に誇れる量のオーガニックコットンを作っていることを示せることが大変嬉しく思っています。このインドの真ん中にあるマディヤ・プラデーシュ州という州があるのですがここで私たちが(綿花栽培を)やっています。まず、タネのことを考えたときに、私たちは利子のない形でローンを組んで、タネを農家に渡しています。 農家の方とのフェアな関係一度タネを植えると成長させていくわけですが、そうしたときにプロのアドバイザーを付けて色々な意見を述べられるようにしています。専門家の意見と申しましても状況も変わりますし、様々な工程が変わっています。今どの段階にあるのか、多くのリサーチの時間を費やして研究をしております。 そして独自の認証システムを作りまして、チェックをしたり、あとは外部の認証システムのところから持ってきたりしています。その後、私たちは農家さんから出来上がった綿花を仕入れるわけです。そして、買取保証をするわけですね。15%上乗せした価格でお支払します。 次に、綿繰り(綿花から種を取り除く工程)とプレスの段階では、上手い形の綿繰りをできるようにサポートしています。そして、(理事会への)参画ということですが、先程もありましたように、たくさんの村にいる農家の方々が、ひとつの村からひとりの農家を代表者として、そこの代表者の中から2人が理事会に来ているわけです。 教育・医療・環境・衛生 bioRe協会の活動もうひとつのbioRe協会についてですが、先ほど社会的な活動をしていると申し上げましたがテーマとしては教育、健康、人々の生活、環境です。トレーニングセンターですがここにbioRe India 、アソシエーションのオフィスもありますし、ここでさまざまなトレーニングが開かれます。 そしてこの4,000を超えるオーガニックファーマーたちがここでトレーニングを受けています。教育のことですが、インドの郊外に行きますと、学校がない地域があるんですが、そういう地域でアニメーションスクールを創設しています。ここは小学校のような初級の学校なんですけれども、1,158人くらいの生徒がここで学んでいます。 この学校では制服や教科書、バッグ、衛生管理の品々を無料で生徒に提供しています。それぞれの18の学校がありますがそれぞれの学校がそれぞれの形で援助を受けています。例えばパノコトレーディングの支援を受けている学校、現在2007年に創設されましたが現在は2人の先生と41名の生徒が学んでいます。資金はパノコによって調達(支援)されました。そして、地域の方が土地を提供してくれました。 様々な形で農家の方々が参画をして、一緒に活動をしています。さきほど紹介をしましたアニメーションスクールというのは小学校にあたり、11歳か12歳までの子どもたちが学ぶことができます。そのあと、もう少し大きくなった生徒たちを受け入れる学校も必要ということで現在、3つの大きな学校が設立されています。その中にCOOPスイスの協力を得まして、今やひとつの学校で500人の生徒が学んでいます。 移動病院のような形でバスの中に様々な医療器具を載せて走らせています。これもCOOPスイスとシーメンツという会社の協力を得て動いています。このバスの中には様々な医療器具がありまして、レントゲンもありますし心電図もあります。医師も中にいますし、薬も出してもらうことができます。今までに2,607回出動しまして9万人以上の方が治療や検査を受けてくれました。今年の3月15日現在の数です。 そしてカーボンニュートラルの取組ですが、二酸化炭素を出さない取り組みを行っています。今では、地域で行っていますが3,800のバイオガスを使った工場を作っていたり、4,500の煙のでないストーブを使っています。これはインドだけの数ですがタンザニアでも大変多くのものを使って、カーボンニュートラルを実現しています。 インドの郊外には家にトイレがないこともけっこう多いので、衛生状況を高めるためにトイレをつけることもやっています。そして、生活を向上させる意味で女性たちのグループを作ります。そこで糸をつくり、紡ぎ、編み、テキスタイルをつくることをしています。これをすることにより、彼らの生活がサスティナブルに持続可能になるようお手伝いをしています。そうは言いましてもたくさんの難しい点、課題はあります。 農家啓発の難しさと遺伝子組換え作物まず一番最初に直面する難しさというのは、農家の人たちの心理的に信じていることなんですが、オーガニックの農法では生産量が上がらないと思っている人が多いんです。次にあることは、インドのタネの中で95%以上の綿花がGMO(遺伝子組換え作物)のタネなんですね。それだけこの状況の中でオーガニックコットンをつくるというのが大変難しい状況です。 次になりますが、オーガニックコットンを作るためにはひとつの農家が、他の作物を作っていた場合、コットンだけをオーガニックにすればいいというのではなく、ひとつの農家がいくつも作物を作っていたら、全部オーガニックにしないとオーガニックにならないという問題もあります。これらの課題にどういうふうに反応して対応しているのかをお話ます。 GMOでないタネをつくるオーガニックコットンを作るために研究をすることに尽力をしていますが、スイスにあるフィーブルという所と協力の元、私達は長い目で、どのような農法で、どういうふうに作ったらどういう作物ができるかを比較対象することをやっています。それはオーガニックである、バイオダイナミックである、GMOを使う、従来の農法で作るというような色々な農法で同じ条件の中で作っています。 そして先程も申しました通り、インドで流通しているコットンのタネの内、95%がGMOのタネということもあり、モンサント(アメリカのGMO種子世界シェアNo1企業、昨年2016年にドイツの農薬大手バイエルに買収される)のような会社から提供されていますけれども、そこからタネを自分たちで作り出さないといけないということも、対策としてやっています。 また、大学のレベルでもGMOでないものを研究する研究機関がないので、それも私たち独自の研究を進めています。それらのタネを作り出すという研究を積み重ねて、2020年には私たち独自で作った完全にGMOではないタネを2020年までにはかなりの数で作ろうと思っています。それらのタネというのはインドで完全に完成されて、オーガニックな環境の元で作られたタネを目ざして作っています。 すべてのサプライチェーンでチェックとテストを重ねるそれは全部のサプライチェーンというか、製造の過程の中で色々なところで行われるんですが、まずはタネを買うところ、一番最初の段階でテストをします。タネを買うときにDNAテストをしてそれがGMOでないことを確認して買います。いったん買ったら育てはじめます。そうしたら、農家に行ってそれがちゃんとGMOじゃない環境で育てられているかということをチェックしにいきます。 でそれがレベル1とすると、レベル2は今度綿を収穫して私たちが買取するときにまたチェックをします。ストリップテストといって、DNAではないんですが、小さなリトマス紙に入れてチェックをします。そしてレベル3,もう1段階上がりますと、収穫して、買い取りました。それをトラックに載せました。そこから綿繰り工場に運ぶまでの間に、誰かが意図をしなくてもGMOのコットンと混ざってしまうことがあるようです。 それがないように、そのトラックに載せた段階、運ばれた段階でも要所要所でチェックをすると。そして工場に来たときには繊維を採って、ヨーロッパにある工場に送って、そこでまたチェック、テストを重ねます。そしてそのテストがたくさんの段階で行われますが将来の参考のため、資料のため、すべてを登録します。テストするだけではなく、登録しています。 お話を聞いていただいてありがとうございました。 大室:ありがとうございます。日本ではGMOという言葉はあまり聞こえてきません。オーガニックコットンの中では。で、今日来ていただいたふたりはそこにこだわっているのと、池内さんもそこにこだわっておられます。実はNON GMOでないと、環境破壊というか、色々なものを破壊しているんですね。土の中も全部NON GMOにこだわっておられて、そうしないとサスティナブルな社会を作れないというのがおふたりの想いです。その辺が時間の関係で、説明が足りなかったので、補足をさせていただきました。 関連リンク |