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Vol.46

タオルの“設計”において、代表から学んだ譲れないポリシー

タオルづくりにおいて、どんなタオルをつくるのかを決める「企画・設計」は全ての起点となります。以前は現代表(池内計司) と曽我部さん(現・業務推進室 室長)がその役を担っていましたが、現在は製品開発・設計 課長の矢野さんに引き継がれています。どのようなことを意識して、企画・設計の仕事に日々向き合っているかを語ってもらいました。

製品開発・設計課長 矢野

タオルの“設計”において、代表から学んだ譲れないポリシー

一筋縄ではいかない“設計”の仕事

今治本社工場にて、製品開発と品質管理を兼任している矢野です。

設計という仕事を一言で表すと、「どんなタオルをつくるか」を決める仕事です。

基本的にIKEUCHI ORGANICのものづくりは、代表の池内からの「こんなんやりたいから、こんな感じで設計して」という発案ではじまります。その段階で、設計がある程度決まっていることもあれば、イメージだけを告げられる場合もあります。それをキチンとした設計に落としこんでいくのが自分の役割です。

細い糸を使うのか、太い糸を使うのか。また、同じ糸を使うにしても、撚(よ)りの回数によっても、タオルの風合いは変わってきます。あまく撚るとやわらかくなりますし、ギュッと撚るとシャリ感のあるしっかりとしたタオルに仕上がります。

他には、パイルを短くするのか、長めにするのか。また、糸を打ち込む密度をどうするかでも、風合いにかなりの違いが生まれます。

例えば、『オーガニック120』と『オーガニック140』は同じ『オーガニック1』を基にした兄弟のような位置づけですが、前者は20番手という標準的な糸を使い、後者は40番手という半分の細さの糸を2本撚り合わせて使っています。これによってボリューム感は同じでも、『オーガニック140』はよりソフト感が際立つタオルへと調整されています。

ただ、池内の「こんなタオルが作りたい」という発案を基に設計の数字に落とし込むと、現実的に製造が難しくなる場合ももちろんあります。

理想に寄りすぎると生産性に問題がある製品になりますし、現実に寄りすぎると今までの既存品と代り映えの無いタオルになってしまいます。ここのバランスを取るのが一番の醍醐味といってもいいかもしれません。

製造のみんなにはいつもギリギリ限界のところを狙って調整してもらうことになり、大変申し訳なく思うと同時に、とても心強く思っています。

どんなタオルでも、基本に忠実であれ

一般的に、タオルの企画・設計という仕事は、新しい機能糸を採用するなど、糸の工夫によって個性を出すことも多いと思います。

ですが、IKEUCHI ORGANICでは、オーガニック素材にこだわってモノづくりをしています。メインで使う糸はオーガニックコットンか、バンブーレーヨンの2種類だけ。そのため、ウチの場合は、糸の機能性での差別化という点は難しい部分があります。

風合い、吸水性の高さ、耐久性。

そういったタオルの基本となるところを、誠実につくりこんでいく。そのうえで品番ごとに異なる個性を生んでいく。それがウチらしい設計のあり方だと感じています。

その点で特に印象に残っているのは、池内が大ファンでもあるビートルズのコラボタオルを製作したときのことです。

ジャカード織りの場合、パイルを短くし、織りの密度を高くしたほうが、グラフィックはキレイに見えます。一方で、パイルを短くすると吸水性が低下し、密度が高いと肌触りは少し硬くなります。様々な要素がトレードオフの関係にあるなかで、この企画はグラフィックを最優先すべきと考え、今までにない短パイル・高密度でいくことを検討しました。

ですが、池内にその方向性を提案すると、「タオルとしての機能性が低下してしまったら、何も意味がない」とキッパリ言われました。IKEUCHI ORGANICらしいタオルの上に、ビートルズのデザインがキレイに表現されている。そういうタオルが作りたいんだと。

一番ビートルズのデザインを完璧に再現することにこだわりを持っていたのは大ファンである池内自身のはずです。それでもまずはタオルとしての完成度が一番だと。どんな企画でも、タオルはタオルであり、タオルとしての基本に忠実であり続ける。

それが池内のものづくりとして、譲れないポリシーであることを理解しました。

技術を継承し、ものづくりの可能性を広げていく

近年、池内の発案するアイデアの中には、今までのIKEUCHI ORGANICから一歩外に飛び出した挑戦的なタオルも存在しています。

例えば、昨年発売した『オーガニック140ライト』では、「シャーリング加工」という技術を使っています。表面がパイル生地、裏面がシャーリング生地となっており、両方の風合いを楽しんでいただくことができるタオルです。

また、先ほども話題に上げましたが、ビートルズをはじめとするコラボ製品ではコラボ先の世界観に合わせて、今までのIKEUCHI ORGANICでは作らなかったようなカラフルな色柄のタオルなども製作しています。

もしかしたら、柄が入ったタオルやシャーリングが使われたタオルは「イケウチらしくない」と思われる方もいるかもしれません。ですが、今治タオルの会社として、そうした技術を継承していくことは、ものづくりの可能性を広げていくはずだと感じています。

この20年間で、わたしたちはオーガニックの糸を使ったタオルの作り方をひたすらに追求してきました。その積み重ねがある今だからこそタオルであること、オーガニックであることへのリスペクトを持ちつつも、新しいことに挑戦できるのだと思います。

池内の頭の中には、作りたいものがまだまだ沢山あるようです。

それを形にしていくのは簡単ではないでしょうけど、会社のみんなや助けてくれる協力工場さんと一緒にIKEUCHI ORGANICらしいモノづくりを続けていきたいです。

インタビュー2023年7月
フォトグラファー/木村 雄司

製品開発・設計課長  矢野

オススメのタオル:ストレイツ220バスタオル

製品開発・設計課長 矢野

必要十分なサイズ・ボリューム感で、拭きごたえはしっかりありつつ洗濯にも困らないところがおすすめです。

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