120は基本ですよ! もう基本中の基本。オーガニック120がブレるとウチはやばいってことだから、これをぶらさずに作り続けられるかにかかってます。
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Vol.32
矛盾が少ない会社で働くということ(後編)
面白い会社がある。人生の転機にそう言われて飛び込んだ先は、自身が思い描いていた矛盾の少ない会社、池内タオル(当時)でした。自分が信頼できるIKEUCHI ORGANICのコンセプトを語る製品(モノ)を世に広める意義などを語ってくれた前半に引き続き、後編ではコットンヌーボーの生まれた背景や、持続可能な社会への提言、好きなタオルのことなどを話してもらいました。
代表取締役阿部
コットンヌーボーの企画の裏側
――阿部さんが入社してから、一番ヒットした製品といえば、コットンヌーボだと思います。しかし、企画当時は池内代表が反対していたと聞きましたが、どの様な点が良くなかったのでしょうか?
コットンヌーボーは外部デザイナーで友人の佐藤利樹との企画で生まれた商品です。コットンヌーボーは、モノ作りの素人だから考えられたところがあって。(タオルの)風合いが年によって異なるというのは厳然としてあるのと、メーカーの責務としてはどんなに不利な状況であろうとも均一な商品を出すというのが常識で、そこのモノづくりのプライドをズタズタにしちゃった商品かもしれない。
職人さんだったり、モノづくりをする人は原材料を見て、そのときのベストなものを作る。マーケティング的に言ったら、「コットンは食品と同じだからテイストが違うんですよ」という方がストーリーがきれいにつながる。やっぱりそこの作る側と、売る側のせめぎあいや視点の違いがあって生まれているものだから、これはこれで、リアルなモノという捉え方ですね。
持続可能な社会へ向け、消費者意識を変革したい
――コットンヌーボーはリアルなモノだけど、均一な品質を提供するというものづくり視点で考えると、それを否定するあり得ない商品だったと。
これは、その均質性に対する問題提起なんですけど、次にやりたいこと(一石を投じたいこと)は、欲しいものが好きなだけ、手に入るという現状の否定。モノって欲しいと思ったときにお店に行って、100%なきゃいけないという現状があります。これを具現化するためにどれだけの物が無駄になっているかを考えていないんです。
いつお店に行っても、商品があるのは、大きな無駄という犠牲抜きにありえない。それをするために何が行われているかをちゃんと知らないと。うちの商品も欠品起こしているんですが、物理的に供給できる量が決まっているわけなんです。販売する人からしたら、(欠品は)最悪なことなんですけど、うちの生産能力が向上したとしても100%解消できないと思います。
欲しいときに欲しいものが欲しいだけあるということを、供給側の仕事というのをまず壊さないと。コットンヌーボーみたいにどういうふうに伝えるかだとは思います。
均一なモノが良いというのもそうですし、いつでも好きなだけ欲しい、とかは消費者が望んだ結果だから、消費者個々の意識を変えていかないと。結局企業は、消費者が望むモノを作るのが良いと思うから、我々生活者の意識が変わらないといけないかなと。
ご飯に味噌汁。お風呂あがりにオーガニック120
――では好きなタオルを教えてください。
やっぱりオーガニック120でしょ!
――何でしたっけ? 阿部さんがつけた、オーガニック120のキャッチフレーズ。
「ごはんに味噌汁。お風呂あがりにオーガニック120」(笑)
120は基本ですよ! もう基本中の基本。オーガニック120がブレるとウチはやばいってことだから、これをぶらさずに作り続けられるかにかかってます。一番作るの大変です。単糸だし、糊がつかないって問題があって、オーガニック316と同じくらいロス率が大きい商品がメインなわけですから。
「え、これが池内のタオル?」って感じだとおもうんですよ。最初に見た人って。「これがロングセラーなの? わからない」と。でもオーガニック120が最重要商品なのがウチらしいですよね。だから好きなんです。チャーシュー麺が有名なお店の、ふつうのラーメン。
――ふつうのラーメン?
麺もスープも一緒じゃないですか。基本がしっかりしてないと、チャーシュー麺が作れないのと同じです。これを大事に磨き上げていかないとダメなのです。
色々持っているけど、やっぱりオーガニック120が好き
――自宅でのオーガニック120はどのように使っていますか?
4枚あります! でもね、奥さんはオーガニック316が好きみたい。120は「薄いわー」って。これで薄いって言われたらねー。僕はこれが好きだなー。
――長く使っても風合いが変わらないですよね?
変わらない。色々持っているんですけどね。120、316、520。その日の気分で合わせていますけど、やっぱりオーガニック120が好きですね。
イケウチのヒトとして、誇りに思うこと
――では最後の質問になりますが、阿部さんから見たイケウチのヒト(社員)はどんな印象ですか?
みんな愚直なんですよ、なんだかんだ言って。ひとつヒントを投げると反応は早いと思います。今までいろんな意識の乖離だとかありましたけど、それはたぶん投げられてないのかな。みんなにこうポーンと、投げかけたときに波紋ができるから、波紋ができたよ、みんなで考えようと会社の雰囲気にしていけばいい。
みんなまじめだから、自分で抱えようとしてシェアしようとしない(笑)。今こんなこと困っているんだけど、っていう感じにみんながなれば、じゃあどうしようかと。そこが、たぶん今まで良くも悪くもカリスマ経営者がいて、自分を含め、それ以外の人はあんまり考えずに進んできたのかなと。個々の考える力は全然あるので、そこは誇れるところですね。
インタビュー2016年3月
取材・文/牟田口・神尾
フォトグラファー/木村 雄司(木村写真事務所)