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Vol.34

新社長は創業者一族以外から抜擢!(中編)

前編では会社運営の代表である社長業の権限委譲の経緯や、IKEUCHI ORGANICというブランドが人格を持っている。そしてそのブランドはお客さんの声でもあるという考えを語ったふたり。中編では、その理解者であるファン以外へのブランド認知方法や、阿部新体制でのIKEUCHI ORGANICが向かう方向性について、熱く語ってもらいました。 前編はこちらからどうぞ。

阿部・池内

新社長は創業者一族以外から抜擢!(中編)

池内代表と同じ方法は出来ない

――IKEUCHI ORGANICはファンあってということだと思うのですが、今までファンに向けてやっていること、今まで代表がファンの方へ向けて発信したことなどあったわけですが、阿部社長としてはどういう形でファンの方やそれ以外の方に広げていきたいですか?

阿部:池内代表はIKEUCHI ORGANICの同じくアイコンで、それなしでは成立しないわけです。そしてエンドユーザーの方に一番響く言葉を持っている方なので、やっぱりその前に立っていただかないと僕ひとりでは無理です。なので、僕は池内代表が伝えやすい環境を整備する。その環境を整備するってことは社内の整備、お取引様の整備、金融機関や出資先の整備をすることだと思っています。

正しいことを正しい言葉でお客様に伝えるためには、池内代表が言っていることと、中で起こっていることと、外で起こっていることが乖離しているのでその乖離を埋めていく作業ですね。乖離はどうしても起こることだと思うんです。そこはやっぱり外のお客様から見る我々のあるべき姿を近づけていく作業、それをしないとダメだなというか、それをやらないと本当のブランドの永続にはならないとおもっています。

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――池内代表に聞きたいんですが、今までIKEUCHI ORGANICがここまで育つ過程であった、苦労されたエピソードはありますか?

池内:いつも(同業者と)違うことをやっているので、そういうことに喜びを感じるし、ウチの会社の中でもヨソと同じことをするといっても多分(従業員が)動かないんだろうと思うね。今朝も澤井(財務担当※1)に運転してもらってくるときに、あんな高い業界紙を購読しているのに、なんで社長全く見ないんですか? と言われたのだけど、世の中の動きを見てしまうと自分があまりに離れていて自信がなくなるから見ない。まぁでも阿部社長は知っておいた方がいから。これから業界紙を阿部社長の机の上に置いておくから(笑)。

――阿部社長どうですか? 代表は今まで誰も通ったことのない道を探求するのが好きだということですが。

阿部:それが永続するのか、社会にとって意義があるのかの切り口ですね、私の場合は。例えば僕はデザインとかそういったことは大事と思うのですが、あれって主観によってしかどれが正しいとか言えないじゃないですか。これがまあ方向性を決める人はいるべきだと思っていてその方が代表なんです、今のところ。僕は今までのうちの会社の流れから考えて、これはどうなのか? という判断でその新商品を出す出さないを決めていく立場かなと思いますね。

僕と代表は結構タイプは違うと思うんです。なのでちゃんとやっていけてて、僕が次にバトンを渡すとしたら僕はメッセージの発信力とか池内代表のように革新的なメッセージを伝えていくことは苦手なんです。だから、そういうのに長けた方が次に来られるのかなぁ、という気がしますけど。

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トップダウンにしない 理想の会社のあり方

――今のお話を聞いていて、代表と同じようなアイコンとなってやっていくことはありえない、という話と思うのですがその中での阿部カラーはどういうカラーとお考えですか? トップとして、それが会社のカラーになるわけじゃないですか? それに関してはどういうものを目指していきますか?

阿部:そこがちょっと認識が異なるところで。会社のあり方が変わるんじゃないかとすごく思っていて、一番上に立つ者の姿は仮の姿かなと思っているんです。まぁ例えば、究極なオーガニックとみなしたときに、こういうことはやった方がいいよねということでも、日常的に出来ないことが実際は結構あって、(その取捨取得が)心の葛藤になってそういう思いを持った人が集まって、新しい何かを作っていくということだと思うんですよ。

それって自発的に集まるもので、それが経済活動につながっちゃいました、というのが将来の会社なのかなと思っていて、富の分配に関しても今と変わると思うんですよね。今の経済活動をそのまま続けていけるかというと絶対出来ないから。

僕はどちらかというと、志が同じ人が集まって響き合って何か新しいことをやっていく。それが社内であろうが社外であろうが、そういうキャラクターかなと。だから自分のカラーというよりは、そのやりたいこと。僕ら、こういうことをやりたくて、こういうことに困っているんだけど、何か一緒に解決しませんか? というメッセージを常に投げていくのがカラーになるのかなと思います。

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企業の規模は、お客様のニーズで決まる

――今、我々の経済活動の輪の中でどれぐらいのボリュームで仕事をやっていくのか、拡大しすぎることも考えられますよね? その中でどれくらいのボリュームでやっていくのか、これくらいの規模でやっていきたいとか、考えはありますか?

阿部:それはね、企業の規模というのはニーズが決めると思っていて、ニーズというのは社会の成熟度に関わってくると思うんです。オーガニックというのは社会の上澄みの何パーセントかということだから、今のニッチマーケット、これがそのマスマーケットに逆転するには相当な時間がかかると思うんです。その成長に応じて、僕らの成長もあるのかなと思っていて、ひとつは原材料のところですよね。やっぱり収穫にも限りがあるし、その次に生産キャパの問題があって。生産キャパを広げるというのも、ある程度支持いただいている皆様あってのことなので、ある程度欠品を起こしてしまうというのは過渡期にはあると思うんですけど、やっぱり供給過剰になるのがアンハッピーだと思うんですよね。

供給過剰になっちゃったら、ブランドの価値を下げて安い価格で売らないといけない。そうすると利益もとれないから継続できないことになるじゃないですか。だから継続するためにはある程度飢餓感というか、それくらいを保った状態で運営しないと永続できないと思っています。だからうちがどういう成長戦略を描くかと聞かれたら、それは社会が決めることでそれに過不足なく対応していく。ということだと思います。

後編につづく

インタビュー2016年6月
取材・文/牟田口・神尾
フォトグラファー/木村 雄司(木村写真事務所)

注釈
※1:財務担当 イケウチのヒトvol.28で登場

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